取材レポート№3 コトリコーヒーの庄司ご夫妻
インタビュー NO.3
今回のインタビューは宮城県多賀城市の「コトリコーヒー」経営の庄司良博氏・美穂氏です。
昨年度、当協会は会員様のリターン品に「コトリコーヒー」の商品を選びました。
化学物質過敏症患者が製造する商品をリターン品とすると決めているからです。
庄司ご夫妻のインタビューからSDGsの~誰一人取り残さない~という精神を知るきっかけになればと思います。ぜひご覧ください。
伊藤:コトリコーヒーの現在に至るまでの経緯を教えていただけますか。
良博氏:まだ私がサラリーマンをしていた2011年2月11日にアトリエポランという店を開きコーヒー・ジャム・パンなどの販売を夫婦で始めました。
子どもがアレルギーを持っていたこともあり、なるべく天然素材で作られた安心・安全な材料にこだわりを持って製造していました。
オープンして1ヶ月後の2011年3月11日に東日本震災が起こりました。ある日お店でパンを購入したお客様が目の前の公園の寒空の下で食べているのを見かけました。
もしかして被災をして避難してきた人達なのでは?と頭を過りました。
そこで、震災で傷ついた人や復興活動で疲れている人たちの憩いの場を作りたいという願いから『コトリの羽休め』をテーマにカフェを始めました。それが「コトリコーヒー」の始まりです。
伊藤:とても素敵なテーマのカフェですね!カフェを始めたきっかけは東日本大震災だったのですね。現在はカフェを閉店して、委託販売やオンラインショップをされているそうですが、どのようなきっかけがあったのですか。
良博氏:カフェを始めて5年が経った頃、転機が来ました。私と妻は、カフェに来るお客様の柔軟剤・香水・シャンプー・ハンドクリームなどの《香り》に違和感を感じ始め、徐々に体調が良くない日が増えていきました。それまで問題なかった《香り》でも体調に変化を感じるようになりました。
伊藤:ご夫妻どちらも同じような時期に同じ症状になったのですね。どうやって診断を受けたのですか?
良博氏:はい。自分たちの症状について調べている時、知人から「化学物質過敏症なのでは?」と言われました。調べてみたら症状がとても似ていました。それを診断できる病院が少ないため、東京に向かいました。そして2019年6月に私と妻は『化学物質過敏症』と診断されました。
その後はお客様に香料の使用をできるだけ控えてもらえるようお願いのポスターを店に貼り、SNSでも投稿をしました。お客様の中にはそれを見て次の来店時には気をつけてきてくれる人達もいましたが、そうでないお客様もいましたのでカフェで働くことが困難になっていきました。
伊藤:香りで具合が悪くなるという症状を周囲に理解してもらう事は難しいものでしたか。
良博氏:はい。香料などを控えてほしい要望に対して時には心ない言葉もありました。私たちの体調が回復しないため2019年の12月にお店を閉める決断をしました。閉店する理由については、当時は『化学物質過敏症』や『香害』という言葉を知らない人も多かったので理解してくれる人たちは少なかったかもしれません。
伊藤:私も今は香料を控えた柔軟剤などを使うようしていますが、知らなかった時は気にしていませんでした。思いやりの社会では皆で知って、できる限りの行動をすることが大切ですね。
良博氏:同じ症状や悩みを持つ方からの励ましの言葉もありました。声を上げてくれてありがとうと感謝のメッセージをいただきました。
そして私達は、新しい取り組みを始めました。同じ症状を持ち悩んでいる方々と交流する『コトリじかん。』です。
伊藤:つい先日、FBで『コトリじかん。』でランチ会を開催した投稿を見ました!皆さんでどのような時間を過ごしたのですか。
良博氏:その会では建築の素材や材料にこだわりを持つ建築業者のモデルルームをお借りして美味しい空気環境の中で体に優しいランチやお茶をしながら情報交換などをしました。無農薬・減農薬の野菜果物について、また体や地球にやさしい洗剤などの情報共有を行い、香りに敏感な人たちに安心して楽しく食事ができることへの喜びを感じてもらえた会でした
伊藤:とても素敵ですね。全国各地で『コトリじかん。』を開催してほしいです。
良博氏:体に無理なく向かえるとことであればぜひ。
伊藤:私たちも何か協力できることがあればお手伝いさせてください。 今日はお忙しい中、インタビューにご協力いただきありがとうございました。
連絡先 |
コトリコーヒーの商品はこちらから購入できます。 購入先リンク |
コトリコーヒーのお問い合わせは 、poran.kotori@gmail.com |
取材日時:2022年3月9日
場所:ZOOMにてオンライン
取材協力:コトリコーヒー 庄司良博氏・美穂氏
取材&文:一般社団法人日本室内空気保健協会 事務局:伊藤佳奈
編集後記
コトリコーヒーの庄司さんご夫妻はとても気さくで優しい雰囲気の方々でした。『コトリじかん。』とても素敵な会ですよね。いつか全国各地で開催され、安心・安全な空気環境がスタンダードになる社会になるといいですね。
事務局:伊藤佳奈